2021-01-01から1年間の記事一覧
前回は、シルヴァによる『システムとしての疎外』の要約を試みましたが、今回はその読書中に考えたことを述べることで、本書の射程を拡げていきたいと思います。 本書の示す読み方で見えてくるのは、新たなーというよりも科学的社会主義を標榜するような政治…
前回の長い前置きに続けて、今回は『システムとしての疎外』の内容を要約していきたいと思います。 著者シルヴァは、本書を始めるにあたり、欧州や北米の研究者の中には疎外論はマルクスの若い頃のみに限られた議論であって『経済学・哲学草稿』(1844年)に見…
Amazonさんで探したのですがどうも掲載されていないようなのでこちらで取り上げたいと思います。マルクスの疎外についての著作なので、ついでに個人的なマルクス疎外論への見通しをつけることも兼ねて論評していきます。今回はそのための長い前置き。著作の…
普段考えていることと違う内容を模索するのは、集中的に時間が取れないとなかなかうまくいかないので、ブログ記事をお休みしてAmazonさんでレビューするのが私的な活動でしたが、今回はそのAmazonさんに書誌情報が掲載されているのがどれだかいまいち分から…
※第4回です。 前回、対話的な思想ではないものを対話により表現することは単に著者の薄っぺらでちゃちな妄想の押し付けになってしまう危険を孕むと言いましたが、問題は薄っぺらでちゃちな著作がなぜ業界から寵愛を受けるのか、ということです。その薄っぺら…
※第3回です。集中的に論じているので、マルクス本人は今回も登場しませんけれど。 ここでは、アンセルムスの言葉自体がどんな意味なのかではなく、アンセルムスの言葉がどういう意味をなすのか、どんな拡がりを持ち、それは私たちにどんな問いを投げかけるの…
※アンセルムスの第2回、続きです。 前回、考察しようとは思っていたのですが資料がなくてそのままにしていた問いが残っています。それは、何故アンセルムスは神の規定として「より大きいものを考えることができることのない何か」という言表を選んだのか、と…
序 若きマルクスの宗教批判を考えるついでに、彼が取り上げた神の存在証明の歴史をしばらく見て行こうと思います。神を信じない者にとっては、一見すると神の存在証明なぞはナンセンスでしかないように思われますが、むしろ逆です。神の存在証明は、西洋的な…
以下は、マルクスの学位論文『デモクリトスの自然哲学とエピクロスの自然哲学の差異』より「補遺」の原注の(9)の訳出です。邦訳も既にありますー以下で挙げていますーが、これからブログ記事にしようと思っている「神の現存在についての存在論的証明」をマル…
※Amazonレビューの再録です。少し前に書いたのですが、現状の認識が全くもって変わらないことから備忘録として再録します。 この電子書籍には表題である『学者の使命についての講義(1794年)』の他に『学者の本質、自由の領域におけるその現象について(1805年…
※第6回、続きです。今回が最終回です。(続き) 前回は、途中でスマホの充電がなくなりそうだったので妙な所で切り上げましたが、その続きとして、もう一度、ニーチェさん本人のテキストに戻って見てみましょうーテキストは前回に掲載してありますー。 テキス…
※第5回です。公開した後でも、ちょっと手を入れて修正します、すいません。今回の話が長くなりましたので、あともう一回だけやります。結びにかえて、マルクス宗教批判の射程 今まで、「宗教は民衆の阿片である」というマルクスの宗教批判を巡って、「マルク…
※第4回、続きです。とりとめない文章ですいません。寒い日が続きますのでお体にはお気をつけて。諸事情により無駄な読書をしていましたが何の役にも立ちそうもなく、まぁそういうこともありますなと気分を変えて、以下でマルクスについて考えていきたいと思…
※第3回、続きです。前回、前々回は文献サーヴェイが主でしたが、今回は思いつくままに文章を書いています。話があちこち飛んですいません。あと、暖房の節約生活をしているので手が悴んで誤字脱字がいつもより3割増しになっています、重ね重ねすいません。3…
※第2回、続きです。2、「宗教は阿片」をめぐる解釈 以下で見ていくことにしますが、マルクス主義を自認する方々の中でも良質的な人々でさえ、いや、というよりも良質的な人々の方が、「マルクスは宗教を良い人と言っている」という解釈へ向かう場合がありま…
※只の研究ノートとして某国営放送でやっている『刑事コロンボ』を観ながら軽い気持ちで書き初めてみたら、ちょっと長くなりそうなので何回かに区分しながら綴っていきたいと思います。一応、文献なども文中で紹介はしていますが、論文ではないので脚注の類い…
※マルクスの宗教科課題作文「キリストと信徒との合一」についての「その2」です。凡例等は「その1」をご覧下さい。(451s) そうして、この無制約的な合一は必然的であるという確信に満たされて、我々は以下のことを探求することを熱望している。この気高い贈…
※以下は、マルクスが1835年にギムナジウムの卒業課題として書いた宗教科作文である「キリストと信徒との合一 ヨハネ15章1-14節での、その根拠と本質、無制約な必然性とその効験の論述」の翻訳です。底本は、Karl Marx Friedrich Engels Gesamtausgabe, Erste…
※2020年12月19日にAmazonでレビューしたものの再録です。段落を入れ替えたり僅かに加筆したりしてますが基本的には同じ内容です。 知人の紹介で購入。以前に経済学に詳しい知人に「君の思考は1848年で止まってるね」と言われたことがあるほど、現代の経済学…
※以下は、2020年12月28日にAmazonでレビューしたものです。 本書は、フィヒテが1793年の初頭に架空の演説をしたという設定で書かれた『思想の自由をこれまで抑圧してきたヨーロッパ諸侯に対して返還要求をする』という著作のフランス語訳です(一昔前の『著作…
※これは、お読みにならないほうがいい文章です。以前の何時に書いたものだったか確認するのも億劫な気になるAmazonレビューの再録です。再録にあたり、もう一度本書を読み直して違う切り口を探しましたが、否定的な感想が増すだけでさらに文章を不快にするの…
※以下は、Amazonレビューに2020年12月3日付けで掲載されたものの再録です。 本書は、マルクスの生涯に渡る著述活動の中で「自由」を語る場面を年代順に掲載したアンソロジーとなっています。マルクスの主要著作からは勿論のこと、ジャーナリスティックな論考…
著名な哲学者による若い頃のマルクスについての論述です。手元にあるのは、平凡社刊の1980年発行の初版5刷ですので、最新版とは細かい所で差異があるかもしれませんが引用はそこからしてます、すいません。本書は詳細な資料により、若いマルクスの思想を提示…