sekiwataruの日記

Ph.D(filosofia)のソリロキア

哲学

【書評】ヤハマン著木場深定訳『カントの生涯』理想社1978年。

普段考えていることと違う内容を模索するのは、集中的に時間が取れないとなかなかうまくいかないので、ブログ記事をお休みしてAmazonさんでレビューするのが私的な活動でしたが、今回はそのAmazonさんに書誌情報が掲載されているのがどれだかいまいち分から…

【論考】若きマルクスと「存在論的証明」批判ー予備的考察ーアンセルムスの場合・第4回

※第4回です。 前回、対話的な思想ではないものを対話により表現することは単に著者の薄っぺらでちゃちな妄想の押し付けになってしまう危険を孕むと言いましたが、問題は薄っぺらでちゃちな著作がなぜ業界から寵愛を受けるのか、ということです。その薄っぺら…

【論考】若きマルクスと「存在論的証明」批判ー予備的考察ーアンセルムスの場合・第3回

※第3回です。集中的に論じているので、マルクス本人は今回も登場しませんけれど。 ここでは、アンセルムスの言葉自体がどんな意味なのかではなく、アンセルムスの言葉がどういう意味をなすのか、どんな拡がりを持ち、それは私たちにどんな問いを投げかけるの…

【論考】若きマルクスと「存在論的証明」批判ー予備的考察ーアンセルムスの場合・第2回

※アンセルムスの第2回、続きです。 前回、考察しようとは思っていたのですが資料がなくてそのままにしていた問いが残っています。それは、何故アンセルムスは神の規定として「より大きいものを考えることができることのない何か」という言表を選んだのか、と…

【翻訳】マルクス「学位論文」より補遺・注9、1841年。

以下は、マルクスの学位論文『デモクリトスの自然哲学とエピクロスの自然哲学の差異』より「補遺」の原注の(9)の訳出です。邦訳も既にありますー以下で挙げていますーが、これからブログ記事にしようと思っている「神の現存在についての存在論的証明」をマル…

【書評・再録】Fichte, J. G., Einige Vorlesungen über die Bestimmung des Gelehrten, Kindle-edition.

※Amazonレビューの再録です。少し前に書いたのですが、現状の認識が全くもって変わらないことから備忘録として再録します。 この電子書籍には表題である『学者の使命についての講義(1794年)』の他に『学者の本質、自由の領域におけるその現象について(1805年…

【論考】初期マルクスによる阿片としての宗教ー第6回

※第6回、続きです。今回が最終回です。(続き) 前回は、途中でスマホの充電がなくなりそうだったので妙な所で切り上げましたが、その続きとして、もう一度、ニーチェさん本人のテキストに戻って見てみましょうーテキストは前回に掲載してありますー。 テキス…

【論考】初期マルクスによる阿片としての宗教ー第5回

※第5回です。公開した後でも、ちょっと手を入れて修正します、すいません。今回の話が長くなりましたので、あともう一回だけやります。結びにかえて、マルクス宗教批判の射程 今まで、「宗教は民衆の阿片である」というマルクスの宗教批判を巡って、「マルク…

【論考】初期マルクスによる阿片としての宗教ー第4回

※第4回、続きです。とりとめない文章ですいません。寒い日が続きますのでお体にはお気をつけて。諸事情により無駄な読書をしていましたが何の役にも立ちそうもなく、まぁそういうこともありますなと気分を変えて、以下でマルクスについて考えていきたいと思…

【論考】初期マルクスによる阿片としての宗教ー第3回

※第3回、続きです。前回、前々回は文献サーヴェイが主でしたが、今回は思いつくままに文章を書いています。話があちこち飛んですいません。あと、暖房の節約生活をしているので手が悴んで誤字脱字がいつもより3割増しになっています、重ね重ねすいません。3…

【論考】初期マルクスによる阿片としての宗教ー第1回

※只の研究ノートとして某国営放送でやっている『刑事コロンボ』を観ながら軽い気持ちで書き初めてみたら、ちょっと長くなりそうなので何回かに区分しながら綴っていきたいと思います。一応、文献なども文中で紹介はしていますが、論文ではないので脚注の類い…

【書評風雑考・再録】J.G.Fichte, "Revendication de La Liberte de Penser", Traduction nouvelle, Introduction, Dossier et Notes par Jean-François Goubet, Le Livre de Poche, 2003.

※以下は、2020年12月28日にAmazonでレビューしたものです。 本書は、フィヒテが1793年の初頭に架空の演説をしたという設定で書かれた『思想の自由をこれまで抑圧してきたヨーロッパ諸侯に対して返還要求をする』という著作のフランス語訳です(一昔前の『著作…

【書評】廣松渉『青年マルクス論』平凡社1980年

著名な哲学者による若い頃のマルクスについての論述です。手元にあるのは、平凡社刊の1980年発行の初版5刷ですので、最新版とは細かい所で差異があるかもしれませんが引用はそこからしてます、すいません。本書は詳細な資料により、若いマルクスの思想を提示…